明日、11月25日はおむすびの命日。
旅立ってから、7年になります。
特別な猫
いつだったかテレビで、たくさんの猫を飼ってきた女性がインタビューされているのを見た。
そして「最初の子はやっぱり特別なんですよ」と言っているのを聞いて、当時の私は違和感を覚えた。
特別ってどういうことなんだろう?
おむすびが私の目の前にひょっこり現れたのは、10数年も前のこと。
青い首輪をしていたので、捨て猫だとわかった。
最初はたまに見かけるくらいだった。
梅雨が始まったころ、おむすびは私の家の玄関前に住み着くようになった。
その時は正直言って、戸惑った。
もともと猫には関心がなかったし。
責任を感じるのと同時に、困ったなとも思った。
だけど毎日顔を合わせてごはんをあげているうちに、どんどんおむすびを好きになっていった。
いないと寂しくて、心配でたまらなかった。
まるで恋する乙女みたいに、朝昼夜と2階の窓からおむすびの姿を確認したものだ。
2階の窓はちょうど玄関の上にあって、身を乗り出すとドアの前にいるおむすびが見えた。
この猫が自分にとって、なくてはならない存在になると予感したのは、おむすびが玄関前に住み始めて1ヶ月くらいが経ったころ。
夏の日
風の強い日で、遠くの空でゴォーッと風がうなっていた。
家の前の道路は、街灯と家々の玄関灯の光にぼんやり包まれていた。
いつものように2階の窓から外を見ると、道路の端っこにおむすびがいた。
我が家の前で、こちらに背を向けてちょこんと座っている。
まるで、誰かを待ってるみたいだった。
その小さな後ろ姿から、長い影が伸びていた。
何を考えているんだろう?
あの風の音は怖くないのかな?
風だけじゃない、カミナリの日、台風の日、怖い日はたくさんあったんだろうな。
そう考えたら、切なさと愛おしさで私の胸はいっぱいになった。
おむすびの後ろ姿が、じんわり湧いてきた涙で滲んで見えた。
どうやらあの猫は、私の心の大事な部分に居場所を作ってしまったみたいだ、と思った。
今なら、冒頭でお話した女性が「最初の猫は特別」と言っていた意味がわかる。
外で頑張って生きていた姿。
他の野良猫に威嚇されて、小さくなっていた姿。
街灯に照らされて道路にぽつんと座っていた後ろ姿は、おむすびにしかない記憶だ。
そして私に猫の可愛らしさ、猫と暮らす喜びを教えてくれた。
だから私にとっておむすびは、特別な意味を持つ猫なのだ。
呼べばいつも、尻尾をピンと立てて来てくれた。
もう一度、触りたいなぁ。
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