私の友人に、誰もが認める美人がいる。
女優でピアニストの松下奈緒を思わせるようなキリっとした美人だ。
中学時代からの付き合いだが、当時から学年で1,2位を争うような美貌の持ち主だった。
美人の大きなメリットと小さなデメリット
眠い時も、私に可愛い視線を注ぐ
彼女のいいところは皆に「美人だね」と言われて「そんなことないよ~」などという白々しい返しをしないところだった。
人によっては「もっと謙虚になれよ」と思う人もいるかもしれないが、美人であることは事実なんだから、否定するのもわざとらしい。
20代の頃その彼女と二人、駅で他の友人を待っていたことがあった。
二人で壁を背にして往来の人々を眺めながら立っていたら、ほとんどの男性の視線が彼女に注がれることに気づいた。
私がその時感じたのは、羨望よりも鬱陶しさだった。
美人や可愛い女性は、普通の女性の10倍は得をしていると思う。
若い頃は私もそういう選ばれた女性に対して「ちっ、いい思いしてるな」と思っていたが、この時だけは「美人じゃなくて良かった」と思った。
そのあと、彼女に「ねぇ、みんなに見られてウザくないの?」と聞いたら彼女はきれいな目をちょっとひそめて「視線なんて気にしてないよ」と答えた。
物心ついた頃からみんなに見られているから、それが普通なのかもしれない。
たくさんの人から見られるのはうざいけど、やっぱり美人に生まれてきたかったという私の気持ちに変わりはないが。
見つめ返してもなぜか目をそらさない人々
さて、そんな私は、電車の中で男女問わずよくジッと見られることがある。
美人でも可愛くもなく、ましてや若くもない私をなぜジッと見る?
まぁ、知り合いの誰かに似てるとか、せいぜいそんな理由なんだろう。
おおかたの人は見つめ返すと目をそらす。
でもたまに、まったく動じない人もいる、特に女性に多い。
どんな理由であれ、私にとってじっと見られるのは非常に居心地の悪いものなので、正直やめていただきたい。
にらめっこしているわけにもいかないので、こそっと違う席に移ったりしている。
猫と見つめ合う
そんなわけで、視線というのは厄介だ。
猿などは、視線を合わせたら喧嘩を売られていると思って襲いかかってくるから、目を見てはいけないと言われている。
襲いかかってはこないが、ノラネコも然り。
ある日、夫の三太が「おむすびと目が合ったら、そらすようにしている」と言うので仰天してしまった。
私とおむすびは、おむすびがうちの玄関に住みつくようになった頃から、お互いがっつりと見つめ合ってきたからだ。
見つめ合えば、会話もはずむというものだ。
人から見られるのは嫌だけど、おむすびからジッと見られるのはちっとも嫌じゃない。
むしろ視線に気づくと、いそいそとおむすびのもとに赴き、スキンシップする。
悪意のかけらもない、100%こちらを信頼している猫の目を見ると、いろんな思いがこみあげてくる。
その健気さと信頼は、決して裏切れない。
おむすび編59に続きます
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