仔猫アオイ「むむっ。トンボだわ!」
仔猫アオイ(左下)「邪魔よ!」 仔猫ユズ「ん?」
3月の打ち上げ花火
先日の夕方、近所で花火が上がっていた。
私はサンダルをつっかけて外に出て、寒々しい夜空にひらく花火を見上げた。
ここらあたりで、夏以外に花火が打ち上がるのは珍しい。
長いコロナ禍の閉塞感で落ち込みがちな市民の気持ちを花火でパっと盛り立てよう、って意図なのかもしれない。
冬、いや今は、もう春か。
夏の花火はあんなに風流なのに、肌寒い春の花火ってなんだか少し寂し気に感じてしまう。
夏の花火
アオイとユズが仔猫の夏、年に一度の花火大会の日がやってきた。
ドンッドンッ!と立て続けに打ちあがる、腹に響くような音。
猫たちは、ぴたっと動きを止めた。
アオイはイカ耳になりながら、打ち上げの音を聞いていた。
アオイは頭がよくて、肝も据わっている。
しばらくして、その音が害のないものだと判断したんだろう。
怯えることもなく、いつも通りの様子に戻った。
一方ユズは超ビビリ。
打ち上げが始まった途端、ピタッと固まった。
そしてすごい形相で、猛ダッシュした。
ダッシュした先は、部屋の隅にあるパソコンモニターの裏。
私はモニターの裏を覗き込み、うずくまっている小さなユズに声をかけた。
「怖いことないよ。隠れなくても大丈夫だから」
でもユズは顔も上げないで、縮こまっている。
そのうち出てくるだろうと、私は観ていたテレビの続きに戻ったが、ユズは一向に出てこない。
そして長い花火が終わり、静けさが戻ってからやっと恐る恐る出てきた。
この時の顔は、まさに「恐る恐る」という言葉がぴったり。
あたりをうかがいながら、へっぴり腰でそぉーっと出てきた。
そしてその翌年の花火の日も、ユズはやはりパソコンの裏に逃げ込んだのだった。
逃走ルートのパターンって、だいたい決まってるのものなのね。
で、先日の花火の場合はどうだったかと言うと、食後の満腹で気持ちよくお休みになられていた。
ユズもだいぶ成長したらしい。
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