11年前の8月のちょうど今ごろ、前の飼い主に捨てられて外をうろついていたノラ猫を保護して家族にした。
それがおむすびだ。
おむすびが猫エイズを発症して天国へ旅立つまでの思い出は、私たちの宝物。
今でも、おむすびはずっと私たちと共にいる。
うちをホームに決めた猫
とにかく人懐こい猫だった。
食べ物をねだって、もらえるとわかると玄関に住み着いてしまった。
もう夏が来ようとしていた。
夕方会社から帰るとだいたいおむすびは、玄関の階段の上にちょこんと座って待っていた。
周りには蚊がブンブン飛び交っていた。
それを見るだけで、私は辛い気持ちになった。
ごはんをあげた後は、またひとしきり甘えてお腹を見せたり頭突きしたりした。
撫でてブラッシングして、さて家に入ろうと腰を上げると、おむすびはドアの前に立って通せんぼ。
そのおむすびを残して家に入るのもまた、ちょっと辛いものがあった。
押しかけ女房、家に押し入る
ある日夕食の支度をしていると、ドアの開く音がした。
帰ってきた三太の声が聞こえた。「だめだよ」
誰か連れてきた?
見に行くと、おむすびが玄関の中に入ってキョロキョロしていた。
あっと言う間に三太に抱え上げられて、ドアの外に出されていた。
「この猫、家に入りたいんだな」と思った。
そしてその夏、私たちはおむすびを迎え入れることに決めた。
まずは病院へ連れていこうとキャリーを用意し、逃げられないように玄関の中で捕獲することにした。
いつも細くしか開けない玄関のドアを、その日は大きく開け放った。
いつもだったら外で食べるのにと、さすがに戸惑い気味のおむすび。
それでも奥にあるエサのお皿に気づくと、まっしぐらに入ってきた。
今日から家族
病院から帰って、家の中でキャリーを開けた。
おむすびはキャリーからひょこっと出てきて、家中を探索して回った。
調理台やガス台をくんくんしている横顔が可愛かった。
それが終わるとリビングで、私たちの傍らで寝た。
その時にはもう、前からこの家に住んでいるような落ち着きようだった。
そして、いつもお腹を空かせた毛並みの悪かったノラ猫は、私たちにとってかけがえのない存在になった。
あれから、もう11年が経ったのか・・・。
今でも、おむすびとの縁について考えることがある。
犬を飼いたいと思っていた我が家に、なぜ猫のおむすびが来たのか?
もしおむすびと出会わなければ、アオイとユズを迎えることもなかったと思う。
偶然であれ必然であれ、
うちに来てくれてありがとう、おむすび。
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