今月に入ってから、今まで見かけたことのない野良猫を見るようになった。
見かけたのは2回くらい。
2回とも、うちから歩いて50歩くらいの公園脇の民家の前にいた。
とても痩せていて、体重は見た感じ3㎏くらいか?
頭が小さくて、まだ仔猫のようだ。
月齢4か月くらいかな?
足がとても細い。
三毛だし、体格的に女の子だろうか。
1日目
3回目に見た時は夕方だった。
いつも見かける公園のそば。
たまらずエサを取りに家へ走った。
戻ると猫は動かずに、まだそこにいた。
かがんでモンプチの小袋をカシャカシャさせると、こちらを凝視する。
袋を開けて数粒アスファルトに置いて少し後ずさると、そろそろとやってきた。
腰が引けて警戒心MAX。
それでもお腹が空いているらしく、毛並みの悪い背中を低くしながら20グラムを平らげた。
2日目
次の日の夕方、そこを通りかかると、昨日と全く同じ場所に猫はいた。
またモンプチの小袋をカシャカシャさせたら、今度はためらわず近づいてきた。
昨日のことを覚えているようだ。
待ってたんだろうか?
最初は、カリカリをアスファルトに置いて食べさせた。
試しに途中から手に乗せて差し出すと、おずおずと食べた。
もう警戒していられないほど飢えている?
猫の温かい舌が、私の手のひらに触れる。
生きてる、必死に生きようとしてるんだ、と思った。
3日目
次の日は、昨日よりだいぶ早い時間に、公園脇に行ってみた。
まだ太陽も高く、公園にはちらほら子供が遊んでいた。
時間が早いから居ないのかな、と思いながらふと振り返ったら、民家の低いレンガ(20cmほど)の陰からじっとこちらを見ている猫と目が合った。
ギラギラ照りつける日差しと公園の子供を避けて、ここに隠れていたようだ。
また袋の音をさせたら、すぐにレンガをまたいでやってきた。
ここで食べさせるのはなんなので、おいでおいでとうちまで誘導した。
猫は用心深くフェンスとガードレールの間を歩きながら、警戒しいしい私のあとをついてきた。
そしてうちの敷地の木陰で、用意しておいた皿でエサをあげた。
改めてその小さな頭と、痩せた体を眺めた。
足は折れそうに細い。
毛はボサボサだ。
鼻の脇が、擦りむいたようにちょっと赤くなっている。
どこか遠くの家の窓が開く音にさえ、ビクッとして食べるのを中断する。
私が少しでも動くと、またビクッとして逃げそうな態勢になる。
きっと今まで、たくさん怖い思いをしてきたんだろう。
この子に幸せになってもらいたい、と思った。
もうビクビクしないで済む安心な寝床と、ごはんに困らない快適な住処を用意してあげたい。
今のうちにもっと体重を増やして、警戒心をなくして捕獲できたら、最低でも避妊手術までこぎつけたい。
そして家族(人間と先住猫)の同意さえ得られたら、うちで飼いたい。
もし同意が得られなかったら、保護ボランティアさんに相談すれば里親募集をしてもらえるだろうか?
猫は食べ終わってもまだ欲しそうにしていたが、もう20グラムも食べてるし、吐いてしまったら元も子もない。
私が動かないでいると、猫はうちの庭の探索を始めた。
しばらく庭をうろうろして、お座りしてあくびして、ちょっと毛を舐めて、私をじっと見た。
私は、ゆっくりまばたきしてみせた。
猫も少しはリラックスしているようだった。
鳥が鳴いて、気持ちのいい風が吹いていた。
5分か10分か居て、猫は戻っていった。
その足で私は、仔猫用の餌を買いにスーパーまで走った。
4日目
自分の思惑がどうなるにせよ、まずは体重を増やすことだ。
私があげたエサは1日の必要量には足りないけど、誰か他の人が餌をあげているに違いない。
でなければ、ここまで生き延びてないだろう。
そしてまた早い時間、公園脇に行ってみた。
そのお宅には失礼かと思ったが、猫が昨日隠れていたレンガ沿いの鉢植えの間も丹念に見た。
でも、猫は居なかった。
それから暗くなるまでの間、何回か足を運んで目を皿のようにして捜したが、見つからなかった。
その日から1週間が経ったが、猫はぱったりと姿を消してしまったのだ。
猫と会えなかった7日間、梅雨とはいえ午後に雨が降ったのは1日だけ。
猫が姿を現さないのは、雨のせいではない。
昼過ぎから子供たちが帰って静かになった時間にかけて、何度か捜しに行った。
捜す範囲も広げてみた。
だけど、猫を見つけることはできなかった。
あの時間帯あの場所に居ればゴハンにありつけるとわかっているのに、来ないのはおかしい。
たぶん何かあったんだ、と思った。
事故に遭った、変質者に捕まった、ノラ猫の縄張り争いでここを追われた、猫嫌いの人に捕獲された、猫好きの人或いはボランティアさんに保護された、あらゆる可能性が頭をぐるぐると巡る。
保健所送りになってないかと、動物愛護センターの情報をチェックした。
いない。
近場の保護団体のHPも隅々までチェックした。
いない。
正直、かなりへこんだ。
というよりも、へこんでいる。
始終あの猫のことが頭に浮かんで、ため息が出る。
夢にも見た。
こんなことになるくらいなら、捕獲機でも買っておいて、慣れるのを待たずに捕まえればよかったのか。
そんな私が今すがりついている可能性は、あの猫に餌をあげていた私以外の人に拾われたのかもしれない、という考え。
だいぶ大きくなっているとはいえまだ仔猫だし、顔立ちも可愛らしい。
私と同じことを考える人がいるかもしれないじゃないか。
だとしたら、これほど嬉しいことはない。
とにかく、あの猫の身に起きたことが良いことでありますようにと、祈ることしかできない。
これからも私は、毎日あの場所を通るたびあの猫の姿を捜すだろう。
そして、もうこれ以上不幸な野良猫を増やしてはいけないんだと、心から思うだろう。
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