猫とビー玉

猫に振り回される幸せとドタバタ日常。自作のヘタ漫画をまじえて綴ります。

人の本性を見た時 おむすび編95

 

人の本性というのは、長く付き合わないとわからないものだ。
お酒を飲んで酔っぱらうと、あっさり現れたりもするが。

 

こたつの下の猫

 

猫をかぶる人

 

一緒に仕事をすると、その人となりがよくわかる。
今の会社に入ったばかりの頃、上品そうで顔もちょっと可愛いおばさまがいた。
そのおばさまがある日突然、ちょっとしたことで火がつき怒り狂った。

上司を罵倒したあと、おばさまは最後に「私に指図しないでもらえます?!」と言い捨てて、凍りついているその場を立ち去った。


そのプライドの高さ、心のないうわべだけの言葉、そして何より自分さえ良ければ他はどうでもいいという思想、それらを垣間見るたび私は、この人と関わらないようにしようと思った。

そして、どういう因縁かそのおばさまと席が隣あわせになってしまったことがあった。

隣に座っていれば、話しかけられる頻度も上がる。
ある時向かいに座っている女性が言った。

同僚「えびねさん、よく耐えられますね」
私 「何が?」
同僚「おばさまですよ。いつもえびねさんに愚痴って、えびねさんが同調すると火消しに回ってるじゃないですか」

確かに、おばさまが愚痴り、単純な私が「ひどいですね!」などと口調を荒げると、最後にはいつも「まぁ、そういうものよ」などと私をなだめにまわっていた。
いつの間にか立場が逆転して、私が愚痴っておばさまが慰める、みたいな構図になっているのだ。


彼女は私をからかって楽しんでいたんだろう。
性悪なオバはんだ。そしてバカな私。
そのあと、この人とは仕事の実務以外の話は一切しないようになった。

 

大人の猫は、猫をかぶる

 

ノラ猫だったおむすびを家族にして、おむすびの変化をいくつか目にした。

最初に気づいた変化は毛並みだ。
家に入れて数週間で、撫でた時の手触りがビロードのようになめらかになっていた。

猫を撫でる


とてもうれしい変化だった。


2階の部屋でドアをしめてアイロンがけをしていると、どんなに息をひそめていてもおむすびは私の居所を突き止める。

ドアの外に猫がいる1

最初の頃は、開けないでいるとあきらめて1階に降りて行った。

ドアの外に猫がいる2

でもしばらくすると、持ち前のしつこさを発揮して、ちょっとやそっとでは諦めないようになった。

ドアの外に猫がいる3

 

いつまでも鳴いてドアの前に居座るので、根負けしてアイロンを切りドアをあける。
おむすびは当然のように入ってきて、アイロンがけしてまだ暖かさの残る服に乗り、またしわくちゃにする。

 

私の膝に乗る時も、最初は私の顔をちらっと見てから乗った。

顔を伺う猫


が、すぐに顔色もうかがわずにずかずかと乗るようになった。

膝に乗る猫


座り心地が気に入らないと、力づくで改良を試みる。

 

膝に乗る猫

膝に乗る猫
 

大人の猫は、人間の優しさや寛大さを測るように、人間の顔色を見る。
だめだと思えば遠慮して距離を置くし、甘えてわがままを言っても大丈夫だと思えば本性を現して王様、女王様に変身する。

そんな風に猫が人の顔色をうかがうのは、なんだか切ない。


おむすび編96に続きます 

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