猫とビー玉

猫に振り回される幸せとドタバタ日常。自作のヘタ漫画をまじえて綴ります。

伊勢・高野山4 高野山1日め

高野山への道のり

 

大伽藍

高野山へはレンタカーで向かった。
私は乗り物酔いしやすい。過去に高野山へ来た時も気持ちが悪くなって、しばらく何も食べられなかった。おまけに今回は寝不足もあって、体調が万全とはとても言えない。

 

 女は寒がり、男は暑がりが多いけれど

 
その日の朝は冷え込んだが、気温はだんだん上がってきていた。夫の運転する車の中で、なんだか暑いなと思ったらエアコンの設定温度が25度になっている。25度は高すぎ、と思って23度に下げた。
暑いと酔いやすくなるので、脱げるものを脱いで様子を見たがまだ暑いので、更に今度は一気に20度まで下げてみた。これでやっと落ち着いた。

それから数十分後、夫が鼻をすすり始めた。ん?と思いながらしばらく横をうかがっていると、今度はくしゃみも出始めた。
「寒いの?」と聞くと「寒い」と夫。
私は人一倍寒がりなので、普通の人が適温と感じる気温でいつもひとりで寒がっている。だから夏に冷房の温度を下げたがる夫が、私より寒がるとは思ってもいなかった。
で、車の温度を22度に上げた(たったの2度、我ながらケチくさいが、暑いんだもの)。

しばらく走ったが、夫の鼻は相変わらず。
「まだ寒い?」と聞くと「寒い!」と夫。おっ?語尾になんかイラっとしてる感。
「何度まで上げる?25度くらい?」とお伺いすると「28度まで上げて」とのことなので28度に設定する。そして「もっと何か羽織ってよ」と頼んでおく。まぁ、運転中だからすぐには無理だろうが。
そしてようやく夫の鼻はマシになった。
 

 

 

車酔いしない工夫

 
高野山への上り坂をくねくね登り始めると、自分に気合を入れた。大丈夫!酔わない、今日の私はいつもと違うぞ!
 
一時期あまりにも車に酔うので、ディスコミュージック作戦を試みたことがある。
私はバブル世代だ。20歳の頃にはディスコで毎週のように踊っていた(今の私の地味な見た目からは全く想像できないだろうが)。だから当時のディスコミュージックを聞くと、手足がムズムズしてきて、アドレナリンが全身を駆け巡る。

この聴くだけでハイテンションにしてくれる音楽が、酔い止めに効くのではないかと考えた。熊本旅行の時、阿蘇山の曲がりくねった道で、私はこれを試してみた。
結果は大成功、酔わなかった。でも山頂に着いて、イヤホンを外した途端、吐き気は襲ってきたのであるが・・・。
が、運転している人にしてみたら、助手席の人間がイヤホンをして口をきかないのはいかがなものだろうか。だから、ディスコミュージック作戦を決行したのは、その時一度きりである。
 
ということで、今回も気合だけで高野山に臨んだ。自分に大丈夫と言い聞かせる一方で「こんなに走ったのにまだ着かない。こんなに遠かったっけ?一体いつ着くんだよ?」と、何度となく考えてしまった。
途中の公衆トイレで止まって、トイレ休憩だ。
まだ気持ち悪くなってはいない。もしかしたら、このまま無事に乗り切れるかもしれない。

トイレから出たら、野外の売店で柿が売られていた。このあたりは柿の産地らしく、大きな柿ひと山(20個くらいあるように見えた)で500円の札がついている。とても安い。
車に戻ると、夫が暖かそうな上着を着ていた。着てくれて良かった。
あともう少しだよ、と夫に励まされてまた出発だ。それから先がまた長く感じられたが、トイレ休憩で感じた酔わないかもしれないという希望的予感を信じ、無事酔うことなく高野山に着いた。
 
着いたらまずは、宿泊する宿坊でチェックインをする。
 確かこの前は、市川海老蔵似の若いイケメンお坊さんがいたが、今はいないのかな?などと考える。私は細かいことを覚えていられない人なのだが、食べ物、イケメン関係のことは人並に覚えているのであった。
 

壇上伽藍

壇上伽藍へ徒歩で向かった。日が陰り始めたせいか、ジャケットの下にウルトラライトダウンを着ているのに寒い。冷気が足元から這い上がってくるようだ。
壇上伽藍の紅葉はまさに今が見頃といった感じだ。いっとき寒さも忘れてその美しい色に見とれる。京都の紅葉が燃える赤ならば、高野山の紅葉は柔らかく優しい赤だ。
 

根本大塔


根本大塔は、高野山を訪れる大きな目的のひとつだ。ここで拝観できる大日如来と、それをとり囲む柱に描かれた仏様を目の前にすると、無宗教の私も思わずひざまづきたくなる。恐れ多いかもしれないが、ずっとここに座って眺めていたい、そんな安らいだ気持ちになるのは私だけだろうか?
 

金剛峯寺

 
金剛峯寺では、玄関でスリッパに履きかえて寺の中を回る。
 

金剛峯寺

 
きらびやかな襖の間がいくつも続いたかと思うと、突然目の前に美しい石庭が開ける。
スリッパをパタパタさせながら進んで行くと阿字観道場があって、阿字観中なのでお静かに、という趣旨の張り紙があった。今度はスリッパの音が響かないように、そうっと通り過ぎる。阿字観と聞くと少し心が動く。少なくとも京都でやってみた写経よりおもしろそうだ。
そしてぐるっと回り、台所に出て、入り口の玄関に戻ってきた。
 
夕食は5:30からなので、夕食前に風呂に入ってさっぱりしようと、宿坊へ戻った。
 この日の夜は美味しい精進料理をいただき、疲れきっていたからか夜の9時には寝てしまった。
 

伊勢・高野山5に続きます