猫とビー玉

猫に振り回される幸せとドタバタ日常。自作のヘタ漫画をまじえて綴ります。

ピッキングされて速攻、ホームセキュリティを契約した話

 
数ある犯罪がはびこるこの社会の中で、私はラッキーなことにけっこう平和に生きてきた。思い当たるのは、ベランダから下着を盗まれたり、姉がスリに遭ったりしたことくらいか(お前がボーっとしてるからだ!と父親から雷を落とされていたが)。本当はもっとあって、思い出せないだけかもしれないけど。
そして数年前、ピッキングされて青くなったことがあった。
 

 

鍵の束

帰宅したら鍵穴がおかしい

 
ある日のこと、会社から帰って鍵穴にカギを差し込もうとしたところ、なにかが引っかかるような感じでなかなかスッと入らない。ちょっと手間取りながらも開けることができたので、なんか変だなと思いながらも、いつものように家事を始めた。夫には後で話そう、くらいに思っていた。

夜に夫が帰ってきて、開口一番言ったのは「鍵、おかしくない?」だった。
「そうなんだよ!なかなかカギが差し込めなかった」
「やられたな」と夫。
「へ?何が?」と私。
 
私は常々夫から、セキュリティー意識が低いと言われている。
それまで自分は用心深い方だと思っていた。海外でも日本でもスリに遭ったことはないし財布を落としたこともない。変な勧誘も即座にはねつけるし、出勤時に自宅のカギをかけたがどうか不安になって10分かけて戻ったこともある(単に健忘症なだけ?)。
 
夫は、そこまでやるか?というくらい徹底する人だ。
うちには盗まれて困るようなものはない。金品は置いてないし、キャッシュレス清算が多いので現金もあまり財布に入れておかない。骨董品もゼロ、昔買ったブランド品はすべて売り払ったし、夫が買ってくれた自分では買わないような、唯一値の張るアクセサリーは毎日身に着けている。
だからもし泥棒に入られても、被害はあまりないんじゃないだろうか。
しかし夫は、留守時の怪しい人間を察知するセンサーを部屋にとりつけて警報が鳴るようにし、カメラも何台か設置したりしていた。
 
そういう夫を見ていると、下着泥棒の被害に遭った過去もある私は、セキュリティー意識の低さを指摘されても悔しいが反論できない。「私の意識が低いなんて失礼な!」と、一応抗議だけはしておくが。
 
話をもとに戻す。
「へ?何が?」と、ほうけた返答をする意識低すぎの私に、夫は辛抱強く言った。「ピッキングされたんだと思うよ、未遂だけどね」
ここで私は初めて青くなった。そしてあたふたと部屋を見まわし、ここでやっと引き出しが荒らされてないか確認をした。大丈夫みたいだった。やはり未遂のようだ。
外に出てドアの鍵穴を懐中電灯で照らして見てみると、今朝はなかった傷がたくさんついている。あけられなくて手こずっているうちに、誰かが通りがかったなどの理由であきらめたのか。
 

恐がる男女


もし未遂じゃなくて押し入られていたら、と思うとぞっとする。盗まれて困るようなものはなくても、入られるだけで気持ち悪い。そして何より心配なのは猫だ。人が来ると隠れてしまうビビり猫もいれば、好奇心で他人に寄っていく猫もいるのだ。もし蹴られてケガしたら?と考えると居ても立ってもいられない。
 

あとはホームセキュリティに頼るしかない

 
私たちは、ホームセキュリティサービス会社と契約することを即決した。
ピッキングされたことを連絡すると、すぐに来てくれた。
夫婦二人雁首揃えて、営業の人の説明を聞く。工事費用がかかる?月々の支払い?はいはい、ホームページに載ってましたね。窓の防犯対策?やるにきまってますよ。え?センサーの数を増やすと料金も上がるの?うっ、でも背に腹は代えられませんからね、えぇ、えぇ取りつけますとも。
という具合で契約していくと、最初に考えていた月々の支払いよりも、ぐっとお高くなってしまった。あぁ、稼がなければ!会社を辞める夢は、はるか彼方に遠のく。
 
こうして我が家は晴れて安心を手に入れた。この安心感はすごい。外出時にコントローラーが発する「留守はお任せ下さい」の声さえも非常に頼もしいぞ。

さてと、ではセキュリティ会社のシールを貼りましょう、と意気込んでいると、夫が「シールは小さめにしてよ」と言うではないか。「なんで?バーンと見えやすいのを貼ろうよ」と言うと「恥ずかしい」とのこと。
高級住宅街を歩いていて、この家何億するの?と思うようなクラスの邸宅には一番大きなタイプのシールが堂々と貼られている。それに比べてこのあたりは普通の住宅街。そしてその中でもうちは、重厚感もなく凝ったデザインでもない、簡素な家だ。確かに家の値段からすれば、小さなシールが相応なのかもしれない。
 

 

 

それにしてもなぜうちが狙われたのか?

 
それなら、なんでうちなんか狙うのさ?と私は思うのである。質素な家だが小金を貯めているとでも思われたのか?
留守中の部屋の明かりも、ランダムな時間につくように設定して明らかに留守だと思われないようにしているし、家周りもきれいにして、だらしない印象は与えないようにしている。
もしかしたら、私が毎朝出勤しては帰ってくるのを、どこかで誰かがチェックしていたとか?考えるだけで背筋がぞっとする。

とにかく大枚はたいてセキュリティ契約したのだから、とりあえずは安心だ。
などと言いながら、今でも出勤時に「カギちゃんと閉めたよね?」と自分に問いかけては、ちょくちょく確かめに戻る私である。