5月のアオイ
続いてきた不調
アオイは仔猫の頃から 頻繁に胃液を吐く猫で、月いちの間隔でまったく食べられなくなり 毎月入院をしていた。
最初の数か月は、安易に毛球症と診断されていた。
でもこれは単なる毛球症ではないと思い、いろんな病気を疑い 病院を変えてみたりもした。
血液検査ではよく「ちょっとだけ肝臓の数値が高いけど許容範囲」と言われた。
エコーをして「胆道が普通の猫よりも太い」と言われたこともある。
でもいつも、原因の特定には至らなかった。
そして成猫になった頃には身体的に安定してきたのか 症状も和らいできて、周期的に食欲旺盛と食欲減退の波を繰り返していたものの、通院の頻度も減り 入院することはなくなった。
そして再び調子が悪くなり始めたのは、去年の秋。
その時のエコーで、重複胆嚢であることがわかった。
エコーは何度もしてきたのに、今までなぜ見つからなかったのか?
たぶん、見つけるのがとても困難なのだと思う。
重複胆嚢とは胆嚢がふたつある先天的な奇形であるが、非常に稀なのだそう。
医師によると、猫での症例はきわめて少なく、やっと見つけた海外の学会資料では 『胆嚢のひとつを切除した猫の術後経過は良好 』 という一例だけ、とのことだった。
そのたった一例で、重複胆嚢と今までの不調の因果関係を決定づけることはできず、アオイの小さな身体に全身麻酔を打って胆嚢をとる、などという決断は とてもじゃないけどできなかった。
ユズとマットに乗る
そして6月、本格的に具合が悪くなり肝炎が判明、CT検査で肝臓になにかできている疑いで生検、その結果が出たのが24日だった。
電話で医師から「肝硬変になりかけていて回復が見込めない、肝移植を試みるか?」と聞かれ、反射的に「はい」と答えたものの、迷いが頭の隅にあった。
肝移植すれば元気になれる保証はあるのか?
それまで持ちこたえられるのか?
無駄ながんばりをさせてるんじゃないだろうか?
いろんな思いが頭を駆け巡った。
結論を出せないまま翌日の夜になり、医師からの電話を受け、ぐったりしてしまったアオイを連れて帰ってきた。
医師の考え
アオイのお葬式のあと 病院に報告を兼ねて立ち寄った時、医師は「推測ですが、胆嚢の奇形がなんらかの悪さをして胆汁が肝臓に逆流し、今までの不調や肝硬変を引き起こしていたのではないか」と言った。
そして「おふたりとも、ご自身を責める理由はまったくありません」と。
今となっては、もしも重複胆嚢であることがわかった時点で手術していたら、 アオイは元気になっていたのかもしれない、と思う。
でもあの時、肝炎はわかっていなかったから 関連づけることは難しかったし、エビデンスはあまりにも乏しかった。
ただ肝移植に関しては、医師は本当にそれがアオイにとって現実的だと判断して提案したんだろうか?と思う。
現実的じゃないとわかれば、アオイをすぐに退院させ、最後の2日間を 病院じゃなくうちで過ごさせることができたのだ。
でもそれは、やりどころのない気持ちからの責任転嫁なのかもしれないし、私たちが冷静に考えて すぐ結論を出せなかったことも事実。
どう悔やんでも、時は戻らない。
今まで父や母を見送ってきて もう後悔はしたくないと、猫たちには愛情を注ぎ、ベストな選択をしてきたつもりだった。
でも最後の最後は、そのベストな選択をできなかった気がする。
ごめんね、アオイ。
ユズと猫だんご
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