「これから寒波がやってくる」とか「台風が近づいている」などの気象予報が出ると、私の気持ちはざわつく。
それは多分、うちの愛猫おむすびの野良時代の姿を見てきたから、厳しい野外で暮らす猫たちのことを考えて反応してしまうのだと思う。
おむすびを初めて見かけた時は、捨てられて間もなかった頃のようで、青い首輪をつけていた。
それからしばらくして夫の三太から、げっそりと痩せて首輪のとれたおむすびを見かけた、という話を聞いた。
おむすびがベースにしていた場所
それから、おむすびはKさんというお宅の片隅にある狭いスペースに住みつくようになった。
会社の行き帰りにKさん宅の前を通ると、コンクリートの上に置かれた赤いバスマットに座っているおむすびをよく見かけた。
屋根こそあるが、プレハブ事務所の壁以外は吹きさらしだったので、雨も吹き込んできただろうし、冷たい風もよけようがなかったと思う。
そのKさん宅の片隅で、おそらく3年近く過ごしていたんじゃないかと思う。
ノラ時代のおむすび。この写真の右側にに赤いバスマットの場所がある
子供たちに追い回されるおむすび
おむすびを追いかけまわす子供たちを何度か見たこともある。
普段は人懐っこいおむすびだったが、子供の声を聞いただけで、稲妻のようにダッシュして逃げていた。
手加減しない子供たちは、ノラ猫にとって天敵なのかもしれない。
他のノラ猫の脅威
うちのエリアでは、喧嘩っ早いノラ猫が幅を利かせており、おむすびはそのノラ猫にしょっちゅう威嚇されていた。
近所の奥さんは、おむすびが捨てられて辺りをうろつき始めた当初、額から血を流しているのを見たことがあるらしい。
あまり警戒心のないおむすびは、天真爛漫に他のノラ猫に近づいてざっくりとやられてしまったんじゃないだろうか。
あの喧嘩っ早い猫にやられたのか?
あるいは違う猫かもしれない。
どちらにしてもおっとりとしたおむすびにとって、恐い体験だったに違いない。
そんないろんな苦労を強いられてきたおむすびも、私や三太をこき使う身になった。
おむすびを家族に迎えたあとも、会社の帰りKさんの家の前を通ると、ついついおむすびがいつも居た場所を見てしまう。
もちろん、もうそこに赤いバスマットはない。
バスマットがあった場所には植木鉢が置いてある。
そして思うのだ。
「あぁ、良かった。おむすびはうちに居るんだ。もう寒い日や台風が来ても大丈夫」
おむすび編 55に続きます
読んで下さりありがとうございます
人気ブログランキングはコチラ