出勤途中、集団登校で集まっている小学生たちによく出会う。
集合場所で待つ子供たちを、私は信号待ちしながらぼんやり眺めていた。
中学年くらいだろうか、男の子が女の子に向かって石を蹴っていた。
女の子は、男の子を睨むとさっと別の場所に移っていった。
男の子は口をへの字にして、何に向かってというわけでもなく石を蹴り続けていた。
それを見ていたら、ある男の子を思い出した。
生きてる意味
中学のクラスに、暴力こそ振るわないが、いつも女子に乱暴な言葉を投げつける男子がいた。
女子たちは皆、その子に何か言われると、嫌な気分になって立ち去った。
大人になってやっと、泣き寝入りも平和に収める一つの手段だということに気づいたけれど、私は昔から泣き寝入りできない性格だった。
だから、その男子に嫌なことを言われるたび、私はいつも言い返した。
ある日その彼が私に言った。「お前、鬼みたいだなぁ」
その時の彼の顔を見て「あれ?」と思った。
いつも不機嫌そうで意地悪そうな顔をしていたのに、その時の彼は笑っていたのだ。
私はびっくりしたがいつものように、多分「うっさいよ」とかそういうたぐいの言葉を言い返したと思う。
それ以降、彼は私に「おーい鬼」なんて呼びかけるようになった。
でもそれは、100%意地悪な感じではなかった。
それから私たちは時々、とげとげしいがほんの少しの冗談と親しみの入り混じったような言葉の応酬をするようになった。
あの頃の自分にはわからなかったけど、彼が手あたり次第に意地悪だったのは、なにかやりきれないものを抱えていて、それをわかってくれる人がいなかったからじゃないのか。
1学期が過ぎ、夏休みが終わり、9月の登校日、先生がショックなニュースを知らせた。
彼が自殺した、というのだ。
私は彼と友達だったわけではないし、親しくもなかったけど、ショックだった。
だってあんなに憎たらしくて、弱みも一切見せないような子だったのに、どうして?
それからクラス全員でお通夜に行った。
その時、彼が遺書で「これ以上生きていても意味がない」と書き残していたことを知った。
大人になってから、「生きてる意味を探すのは現状に満足していないから」と本で読んだことがある。
それを読んで、その通りかもしれない、と思った。
意味を探し続けて見つけられずにいた若い頃の私は、いつも持ってないものばかりを求めていたから。
そしてやっと「何を得るか」から「どう生きるか」へ舵を切ったつもりでいる今も、自分の中のないものねだりがちょくちょく顔を出す。
すると、だいたい次に苦しい気持ちがやってくる。
難しいものだ。
集団登校の小学生たちを追い越して、「お前、鬼みたいだなぁ」と言いながら笑っていた彼の顔を思い出しながら、私は会社へ急いだ。
体重詐称疑惑
猫の体重管理って意外に大変だ。
去勢避妊手術をすると太りやすくなるし、室内飼いは運動量も減る。
おむすびを家族にして間もなく、ついついねだられるままにエサをあげていたら太らせてしまった失敗から、厳重に管理するようになった。
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ダイエットでおやつをなくすのはかわいそうなので、減らせるのはゴハンだけ。
おむすびは不満そう。
でも次の体重測定までには、運動もして減らしたい。
体重計に乗せると降りようとしたり、動き回ったりして測れないこともしばしば。
いろんなものがはみ出る。
わざと?
猫はなかなかの知能犯。
油断大敵だ。
うちで使っている体重計、グラム単位で測れます
おむすび編112に続きます
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