猫とビー玉

猫に振り回される幸せとドタバタ日常。自作のヘタ漫画をまじえて綴ります。

伊勢・高野山1 おはらい町通りのカギしっぽ猫

先日、5年ぶりに伊勢へ行ってきた。
伊勢といえばやはり伊勢神宮。
この日は11月14日、奇しくも大嘗祭当日だったのだが、内宮を訪れた時間には行事が終了していた。

 

行事の立て看板

 

最初の目的地 外宮

 伊勢市駅に着いたのは昼だったので、まずは伊勢うどんでしょ、と言うことで外宮近くのうどん屋で伊勢うどんを食べた。

玉子伊勢うどんというものを頼んでみたのだが、運ばれてきたうどんは想像していたそれと大きなギャップがあった。うどんの上に玉子がでん!とのっているのを思い描いていたのだが、その玉子がない。
よく見ると太いうどんに溶いた玉子が麺に細かくからまっているのだった。

麺はやわらかくてふんわりしている。
うどんと言うと、私などはすぐ讃岐うどんなどのコシのある麺を思い浮かべるのだが、伊勢うどんは箸で持ち上げるとその重さで切れてしまうほどのやわらかさだ。
夫いわく、参拝者に消化の良いものを食べてもらおうという思いから、伊勢うどんは柔らかいのだ、とのこと。

色が濃くてちょっと甘いつゆが、玉子と麺によくからまって美味しかった。
その美味しさゆえか、つゆを飲み干した夫に「なんで飲み干すのさ?血圧また上がるじゃん」と私。
「せっかくの旅行なんだからいいじゃん」と夫。
「それじゃ旅行や外食の時はいいとしても、うちで即席ラーメンのつゆ飲んでるのはなんで?」などと、どうしようもない会話をしながら外宮を参拝したのであった。
 

小瀬神宮下宮

参拝しているうちに体が冷え切ってしまい、暖かい飲み物を飲みたくなったので、カフェをさがした。すると外宮のすぐ近くにダンデライオンチョコレートというカフェを見つけた。
 

ダンデライオンカフェ 

チョコレート好きな私たちは、迷わず入ることにした。
入り口を入るとすぐそこに、チョコレートが並んだテーブルがあった。ぐるりと見てまわると、全てのチョコレートにカカオ豆の産地とカカオの含有量が表示されていて、この店のカカオ豆へのこだわりが伝ってくる。
私は写真右のブラウニーを食べた(食べかけで見苦しく、すみません。食い意地が張っているので、写真を撮るより先につい食べてしまう)。
 

コーヒーとケーキ


甘さがちょうどよく、何よりチョコの香りがとてもよい。ボリュームもたっぷり。
夫も「甘い部分と苦い部分のバランスがよくておいしい(写真左のケーキ)」と満足そう。
この店はうちの近くにも店舗があるようなので、今度はそちらに行ってみよう。
 
 
ダンデライオンのホームページはコチラ ↓

二見興玉神社

 
店を出て、二見興玉神社に行ってみようということになった。

土産屋の店頭をはじめ、神社の手水舎などいたるところに蛙像がいる。猿田彦大神のお使いとされる蛙で二見蛙というらしい。

海は荒れていて、うねる波が岩にたたきつけられると、砕けたしぶきが強風で全身に吹きかかってくる。
ただでさえ寒い気温なのに、風と波しぶきで体温があっという間に奪われていく。

夫婦岩のそばにある岩に二羽の鳥がとまっているのが見えた。
強風吹きすさぶ中、人間の私たちは風にあおられてよろよろしながら「寒すぎるー」なんて言っているのに、二羽は動じる様子もなくゆうゆうと海を見渡している。
あの二羽も夫婦なんだろうか?
 

岩にとまる二羽の鳥


凛とした二羽の姿を見ていると、へっぴり腰で手すりにしがみつく私や周りの人間たちが、たまたま文明というものに守られているだけで、すごく弱いものなんだと感じる。人間よりも自然界で生き抜く動物たちの方がよっぽど格が上なのでは、と思ったりすることがあるが、この時もそんな思いが頭をよぎった。
 

 

 

おはらい町通り 

 
その後内宮へ向かった。
夕刻だったので、おはらい町通りの賑わいも昼間よりは落ち着いている。

少し歩いたら野良猫に出会った。
ここを訪れるたび、必ずといっていいほど野良猫を見かける。
5年前出会ったのは親子の猫だったが、この猫は単独だった。
 

カギ尻尾の猫


体重は3キロ弱と思われ、体は小さくて痩せ気味のメス。
野良猫は発育が悪いから、何歳かわからないが若い。
人慣れしていて、撫でると気持ちよさそうな様子でカギしっぽをピンと上げて、私の足にスリスリした。
毛づやは良くも悪くもなく、撫で心地も思っていたほど悪くないので、エサは食べているようだ。

地元の人にエサをもらえているのかもしれない、そうであってほしい。
もし、観光客から人間の食べ物をもらって生きながらえているのだとしたら、ただでさえ短い野良の猫生はますます短くなる。
撫でていると立ち去りがたくて、連れて帰りたくなってしまう。

夫の「もう行こう」という言葉で、後ろ髪をひかれる思いで歩き出した。
何度も振り向く。
アスファルトにうずくまった猫が、行きかう人の向こうでどんどん小さくなっていった。
 
 
おはらい町通りが終わるあたりの林で仔猫たちが追いかけっこをしているのを見た。
 

仔猫


少し毛足の長い薄茶色の猫たちで、やんちゃ盛りの年頃だ。
私たちの視線に気づき、警戒したのか木の陰に隠れながら追いかけっこを続ける猫たち。少し離れた場所から母猫らしき猫が仔猫たちを見守っていた。

この猫たちには、寄り添って体を暖め合える家族がいる。
でもさっきのカギしっぽの猫に家族はいるんだろうか?
 
 
内宮は大嘗祭の行事のせいか、制服を着たガードマンらしき人たちがあちこちに立っていて、ものものしい雰囲気を漂わせていた。
どこからか黒塗りの車がそろりそろりと走ってきて、誰がやって来たんだろう?と立ち止まると、立っていたガードマンに「ここで立ち止まらないで!」と注意された。

明日の早朝参拝が本番だからと、今日はさっと見て引き返した。
またおはらい町通りを通って帰る。
 

ペルシャ猫


あのカギしっぽ猫まだあそこにいるかな?と話しながら歩いていくと、いた。
 

カギ尻尾の猫2


今夜は冷え込みそうだ。
この猫はどこで寝るんだろう?
考え出すと止まらない。
 
 そして暖かい宿に着いて、部屋の中でも、食事中も、風呂に入っても、布団に入っても、カギしっぽの猫のことが頭を離れなかった。

うだうだとセンチメンタルに考え続けて、最後に行きつくのはいつも、自分は無力だ、という事実だ。
世の中には、不幸な野良猫をこれ以上増やさないように活動をされている方たちがいる。捕獲しては不妊治療をし、病気の猫を治療したり里親募集をしたりしている方たちがいる。
なのに私は忙しさにかまけ、体力のなさを理由にして、やってることと言ったら心ばかりの寄付をするくらいだ。

また自己嫌悪に陥りながらこの日は終了した。
 

伊勢・高野山2に続きます